『手札が多めのビクトリア』マイ手札エピソード 〈監督:木村延景〉|新作スペシャルエピソード&第2

TVアニメ『手札が多めのビクトリア』
マイ手札エピソード 〈監督:木村延景〉

メインスタッフの皆様に、「自身の持つ技術やスキル」=「手札」を用いてこだわったシーンを選んでいただきました⟡.·

🃏Scene
第7話「素敵な思い出ができたのは」
姿を消したビクトリアのことをジェフリーたちが心配するシーン

🃏Comment
前置きとして、二つお話ししておきたいことがあります。

自分は演出家を目指して演出助手をしていた頃、先輩たちから「演出家はコンテと演出の両方を担当してこそ、その話数を隅々までコントロールできる」と教わって育ちました。
その意識は今でも変わっていません。コンテと演出を兼任することがとても重要だと思っています。
ただ実際のアニメーション制作では、スケジュールや人員の都合もあり、すべての話数で同じ演出家がコンテと演出の両方を担当することは難しいのが現実です。
そんな中、『手札が多めのビクトリア』では、第3話と第4話について、それぞれ一人の演出家がコンテと演出をセットで担当しています。自分にはないセンスや技術が詰まった、とても魅力的な話数になっていますので、ぜひほかの話数との違いも含めて楽しんでいただけたらと思います。

そして当然、自分自身がコンテを担当した話数については、これまで自分が仕事の中で学んできた技術や表現の中から、『手札が多めのビクトリア』に合うものを取捨選択し自分が見て一番いいと思えるもので仕上げています。ただ、これについては自分の思い入れが強すぎて、語り始めるとかなり長くなってしまうので、今回は割愛します。

今回は、これまで一緒に仕事をしたことのない演出家の方にコンテだけを描いていただき、その後は自分がそのコンテを読み解きながら、各スタッフとともに試行錯誤を重ねて映像にしていく、という話数が多くあります。
その中で、第7話のコンテに、自分の中にはなかった発想でありながら、自分の好きなセンスと合うシーンがありました。その話をしたいと思います。
そのシーンは後半、ヨラナの屋敷内でビクトリアがこつぜんと姿を消したあとの状況で、ジェフリーたちがビクトリアを心配する場面です。
コンテのト書きには、「誰かが亡くなったような、モノトーンに近いコントラストの強い色味で」と書かれていました。
アニメーション制作のシステム上、コンテだけを担当した演出家は、その後の画面づくりには参加せず、コンテを通してのみ後工程のスタッフに意図を託すことがほとんどです。その場合、後のスタッフたちがコンテに込められた演出意図を読み取り、それぞれに解釈しながら映像へ落とし込んでいきます。
そのト書きから素直に連想すれば、「お葬式」のような、暗く陰鬱な画面をイメージすることもできます。ただ、自分はこのコンテからはそう受け取りはしませんでした。
お葬式はもちろん悲しい出来事ですが、それだけではなく、静寂の中で、それまでそれぞれの仕事や生活を送っていた人々が、去った一人の人間のために時間を作って集まり、その人のことを思い返す時間でもあります。
そのとき、その人々が見ている景色は、白黒で陰鬱なものではないと僕は思います。
そんな話を美術監督や色彩設計とも共有しながら、静けさを感じさせつつも、きれいで優しい光が差し込む室内の色味を作ってもらいました。
そして、第7話のコンテの魅力はそこで終わりません。
その静かな空気のあと、ヨラナ、スーザン、そしてジェフリーたちの感情が高まり、一転して、少し乱暴なくらい強い色味のシーンへと変わります。
その画面の変化によって、彼女の周囲にいる人たちが、ビクトリアに対して信頼、愛情、絆、それらがかけがえのないものだったということがよく表れていると思いました。
自分の中にはなかった表現をコンテの発想から受け取り、それを各スタッフと一緒に映像として膨らませていくことで、原作が持っている魅力をうまく表現できたシーンになったのではないかと思っています。

▼第1期総集編公開中⟡.·
https://www.youtube.com/watch?v=BVJQPLt2zww

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「このライトノベルがすごい!」ノミネートの常連・守雨の話題の小説
TVアニメ『手札が多めのビクトリア』新作スペシャルエピソード&第2期制作決定!

■ CAST
ビクトリア・セラーズ:安済知佳
ノンナ:若山詩音
ジェフリー・アッシャー:阿座上洋平
エドワード・アッシャー:小野大輔
クラーク・アンダーソン:潘めぐみ
ザハーロ:古川慎
コンラッド・アシュベリー:逢坂良太
セドリック・アシュベリー:小野賢章
ランコム:野島健児
ヨラナ・ヘインズ:秋保佐永子
バーナード・フィッチャー:家中宏

■ STAFF
原作:守雨「手札が多めのビクトリア」(MFブックス/KADOKAWA刊)
キャラクター原案:藤実なんな、牛野こも
原作企画:フロンティアワークス
監督:木村延景
シリーズ構成:福島直浩
キャラクターデザイン:大沢美奈
アニメーション制作:スタジオディーン

オープニングテーマ:ハク。「一進」
エンディングテーマ:KI_EN「縁のつき」

■ INTRODUCTION
原作は「このライトノベルがすごい!」ノミネートの常連・守雨の話題の小説。
コミカライズはコミックシーモアで上位にランクインするなど好評を博している、
幸せな人生修復物語「手札が多めのビクトリア」、待望のTVアニメ化!

組織を抜けた凄腕工作員の「クロエ」は、
別人の「ビクトリア」として新たな一歩を歩みだす。
たどり着いたアシュベリー王国で出会ったのは、
母親に置き去りにされた少女・ノンナと、騎士団の誠実な団長・ジェフリー。
ジェフリーはノンナを引き取ったビクトリアの身元保証人を引き受け、
それぞれに傷ついた過去を持つ3人は、お互いが大切な存在になっていく。
ビクトリアが夢見ていた“幸せ”の行方とは――?

◾️アニメ公式サイト
https://victoria-anime.com
◾️アニメ公式X 
@tefudavictoria /#ビクトリアニメ

©守雨/MFブックス/手札が多めのビクトリア製作委員会
©守雨

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